私は、電気が専門外の方にバナナに例えて皮相電力、電力(有効電力)、無効電力の話をする事がある。もちろんベクトル図も書くがこれが一番判りやすいのでないかと思っている。
力率を計算すれば103/172≒0.6 となり、一般的に考えれば遅れ力率60%と言う事になる。バナナの皮は食べられないので捨てることになる。
つまり、正味103の力を出すのに効率が悪いので172の力を入れないと103の力が出ない。じゃ、皮の部分を薄くしていけば効率(力率)が上がるのではないかと言うことになる。
皮を薄くする方法としては皮(コイル)と反対の性質のある進相コンデンサを取り付けて皮を薄くして、皮が無くなれば力率は100%となる。さらに進相コンデンサを増やしていくと今度は進み力率となりやはり効率は落ちる。
皮が厚いほど「無駄飯」を食っていることになるので電力会社は力率85%を基準にして1%上下するごとに基本料金を1%づつ割増、割引している。最大15%の割引が受けられる。需要家は馬鹿でないので力率を100%にして15%の割引を受けているのがほとんどである。
昔は変圧器容量の1/3程度の進相コンデンサを取り付けて100%をキープしていたが軽負荷時は進み力率となるので年末年始、ゴールデンウイークは「進相コンデンサを切ってくれと」のお触れが電力会社から今も出ている。最近は小規模な高圧受電設備を除きほとんどが自動力率調整器を取り付け、コンデンサを2~6台程度に分けて力率に応じて台数を制御して力率を100%付近に制御している。