バイパスコンデンサの効果


 インバータ負荷の電源側に漏電火災警報器や漏電リレー(ELR)を設置した場合、あるいはインバータの分岐開閉器として漏電遮断器(ELCB)を使用した場合、通常の感度電流の整定(設定)ではこれらが動作することがある。 
 
 インバータは商用周波数の50/60Hzに比べ原理上、高調波成分を多く含んでいる。そんな訳で回路の配線長による対地静電容量の漏れ電流+インバータ自身の対地静電容量の漏れ電流に高調波成分を多く含み合成電流の大きさは各調波の電流の自乗の合計の平方根となり漏電火災警報器、漏電リレー、ELCBの動作につながる。 
 
 コイルのリアクタンスは周波数に比例するが、静電容量(コンデンサ)は逆比例となり、周波数が高くなれば電流を通じやすくなる。 Xl=ωL Xc=1/ωC ω=2πf f : 周波数 
 
 そんな訳で、配線長さ、配線太さが同じ回路でも商用周波数では動作しないが、インバータでは動作するということが起きる。 
 
 動作自体は正常動作なのでこれを回避する為、感動電流を一段上げるとか漏電を検出する零相変流器(ZCT)の2次側に接続される警報器、リレーのZ1、Z2端子にバイパスコンデンサ(パスコン)を並列に接続すれば回避できる。 
 
 一例であるが下記は、3相200V75kWインバータで対地静電容量0.1μFで周波数を30Hzにした場合のバイパスコンデンサの有無による漏電火災警報器のZ1、Z2端子に架かる漏れ電流(電圧)の状況である。0.1μFは IV 200sq 60m の電線管配線相当の対地静電容量となる。 
 
 JEC規格のZCTは1次200mA / 2次1.5mAであるがJIS規格、消防法によるZCTの詳細はメーカーの任意となっておりほとんどが電圧出力として製作されている。 
 
 オムロンのZCTの場合は1次50mAに対し2次30mVとなっている。

 

 光商工のZCTの場合は1次50mAに対し2次4.6mVとなっている。