どんな世界でも理想と現実の違いがあるのは常識であり電気の世界でもそれが言える。教科書等に描いてある理想的な図でも実際に確認してみると種々の条件によって理想通りにはならない。
そこで、これまで「そんなもんや」と言うことで教科書通りと頭で考えていた整流回路の電圧、電流波形を見てみた。回路は図1である。AC入力電圧はおよそ80Vとした。最初は平滑コンデンサ(C)、ブリーダ抵抗(BR)、負荷抵抗(R)を接続しないで単相全波整流と三相全波整流の無負荷電圧波形を見ると図2の様であった。教科書通りではなく単相では半波の下限が零点にならないで14Ⅴ程度になっている。三相では60°ずれた電圧の下限が97.7Ⅴ(80×√2×sin60°)にならず101.1Vになっている。図4の教科書通りにはならない事が判る。
次に無負荷(抵抗RB、Rを接続しない)で平滑コンデンサ(C)のみを接続してみると図3の様であった。やはり、単相と三相では三相のほうが√3倍の馬力(^・^)があるので電圧が落ち着くまでの時間は早いが単相は時間がかかって落ち着いていく。コンデンサへの突入電流も三相は第一波で終わりだが単相は時間がかかっている。
ブリーダ抵抗(BR)や負荷抵抗(R)を接続した場合の特性については「整流回路・其の2」に載せる予定です。
図2上・コンデンサ無しの場合の整流波形・上が単相全波整流、下が三相全波整流の電圧波形
図3上・コンデンサを接続した場合の整流波形・上が単相全波整流、下が三相全波整流の電圧波形
図4上・理想的な整流電圧波形(電気工学ハンドブック 449頁 発行1995.5.15 発行所 社団法人電気学会による)