福井から秋田の日本海沿岸は風力発電の不適地


下記は「電気あれこれ・No.14 2006年8月23日(風力発電と雷)」に記載したものの一部である。

 

風力発電設備を見る機会がこれまで2回あった。石川県内に一番初めに出来たのが白山市(旧松任市)の徳光海岸の出力300kWのものであったと思う。二番目は碁石ヶ峰(日本海から約10km)の出力600kWのものかと思う。その後、石川県内の別の場所で何箇所も設置されたり計画も現在色々あるようである。

福井県から秋田県にかけての日本海側は世界でも有数の雷銀座である。そんな訳でこれらの風力発電設備は海岸近くとか、山の上にひときわ大きく建てられるので雷の絶好の餌食である。このため白山市や碁石ヶ峰(石川県羽咋市?)の風車には何回も雷が落ち羽根がもぎ取られたり、内部の電気機器がパンクしたりして其の都度修理となっている。北欧製の風車なので修理にもかなりの費用がかかり、白山市のものは最終的には羽根を全部とって運転を止めてしまった。白山市議会では「新し物好きの前市長の負の遺産」との新聞報道があった。

また、碁石ヶ峰のものは石川県営なので採算が取れず県議会で「どうなっとるがや」←(方言)と県の企業局が痛めつけられていた。前回見学した石川県内灘町(出力1,500kW)(日本海から約500m)のものは前記の雷の被害を考慮して風車(100m)の横に風車より高い鉄塔(105m)を建てて避雷針(誘雷針・導雷針)の役目をさせて羽根への直撃を防ぐ設計になっているがそれでも羽根への落雷はあると言っていた。

内灘町の追記:この設備の建設に関わった石川高専の櫻野仁志教授らグループが第28回雷保護国際会議で発表した資料によれば、2003年度は落雷のうち6割が鉄塔に落ちたが電流が大きな巨大雷はほとんど鉄塔に落ちた為、風車への被害はなかった。風は主に西南西-西北西から吹いていた。2004年度は落雷時の風向が西北西-東南東と広範囲になり巨大雷が風車に落ちる割合が増えた。豪雪だった2005年度は落雷回数が72回と前年の4倍になった上、風向は南-南西と鉄塔と風車を結ぶ直線の直角方向から吹く「横風」に集中した為、巨大雷が風車を何度も直撃し、羽根を破損する被害も出た。対策としては鉄塔を高くしたり南西方向への増設も必要との事(2006年9月20日付の北国新聞)。

 


No.14を載せてから11年を経過した現在、

ローカルの北国新聞の記事によれば、

2003年に運用を開始した内灘町の風力発電も「部品の経年劣化」で2017年の6月から運転を停止しているようだ。

 

運用開始から「雷」襲来もたびたびあり

風車の地上高105mより高い110mの避雷用の鉄塔を建てているがそれでも「雷」様は風車に落ちる様である。

 

「雷」の襲来が多い福井から秋田の日本海沿岸の地域は「雷」の他、設置後10~30年で発生する「部品の経年劣化」もあるので費用対効果をしっかり見極める必要がある。結論的には風力発電には不適地である。