低圧変流器(CT)の過電流定数(OCC)はどんだけ?


低圧の変流器(CT)は例外を除き過電流定数(OCC)はカタログにも現物の銘板にも表示がない。過電流定数(OCC)

は高圧の場合は悪くても  n>3  である。が、カタログには記載があるが現物の銘板には表示がないものもある。n> 3 のほか   n>10  n>15  n>20  等があり JIS  C 4620 によるキュービクル式高圧受電設備では  n>10  の使用を規定している。n>10 以上の物は定格銘板にも表示がある。

 

n>3 の3の意味は変流器の定格電流例えば100/5Aの場合300Aの電流を流した場合、理想的な変流器であれば2次側の電流は15Aになるが実際はそうはならない。仮に13.5Aの電流となった場合の比誤差は-10%になる 



例外を除きを、三菱の低圧変流器の例で言うと継電器用の1,500/5A~4,000/5Aの n>10  CW-15LM  15VA  1PSで規格は JEC-1201-2007である。が、一般の高圧需要家で使用しているのを私は見たことがないし、もちろん低圧変流器で  n<10  の表示のある変流器の現物を見たことがない。

 

1,500/5Aは3φ200V電動機で言えば375kW、3φ400Vで言えば750kWとなり単体でこのような大きな電動機等を使うのは特別高圧高需要家(22kV~154KV・以前、関電の神戸で11kVを見たことがあるが例外かと思うが )の2次変電所(3.3kV~6.6kV)の低圧側かと思う。

 

高圧需要家の低圧400Vでは電動機等の単体容量の最大は300kW程度(200Vでは150kW程度)かと思う。通常、電動機の過負荷保護はサーマルリレー(熱動継電器)で行われており、電動機電流が直にサーマルリレーに流れるので問題はない。

 

しかし、3Eリレーを使った場合などは変流器2次側の電流で3Eリレーを動作させる事があるので変流器の過電流定数が n>2 であれば、仮に変流器が300/5Aで1次側に3倍の900Aが過負荷時に流れても2次側には15Aが流れず12A程度であれば設定の80%の電流しか流れず3Eリレーの設定如何によってはリレーが動作せず電動機が焼損する場合がある。特に変流器の2次側を利用して遠方に電流計をつける場合は注意をしないといけない。

 

こんな訳で低圧変流器においても過電流定数が必要になることがある。そんなんで三菱の低圧変流器の 5/5Aの5VAと15VA 300/5Aの15VA過電流定数を実測してみた。結果は概ね n>3 で負担が半分であれば見かけ上の過電流定数は n>6 となった。40VAは物がなかったのできなかったが定格負担で n>3 50%負担で n>6 であろうと推定できる。

 

見方を変えれば、変流器を過電流定数を考えないで製作しても n>3 は確保できるのではと考えるが如何。