2009年1月6日のローカルの北国新聞に「貯雷で一石二鳥」と言う見出しがあった。電気あれこれ No.60に記載した金沢工大の饗庭教授が雷雲から電気エネルギーを収集し、貯雷(蓄電)するシステムを考案したとなっている。一石二鳥は「落雷防止」と「エネルギー開発」の二つを言っている。
新聞報道の要旨は、雷雲が近づくたびに大地との間に流れる大気電流と雷放電後の続流と呼ばれる弱い電流を蓄える仕組み。地上5m以上に立てた避雷針で大気電流と雷電流を捕らえ、雷を発生させる高い電圧の電流は避雷器を通して大地に逃がし、500V以下の低い電圧の電流をだけを「電気二重層キャパシタ」と呼ばれる特殊装置で貯雷(蓄電)する。
大気電流は電圧が大小さまざまで幅広く、一定の電圧しか対応しない従来の蓄電池やコンデンサでは蓄電が不可能だった。しかし近年、幅広い電圧に対応できる「電気二重層キャパシタ」の開発が盛んになりこれを応用してメーカーと共同で貯雷装置の開発を進め年内の実用化を目指す。
饗庭教授が高さ65mの避雷針を用いた観測で、雷が多い冬の一ヶ月で105回の電流が計測され、雷雲が上空に停滞する時間を考慮して電気量に換算すると、推定400kWh。一般家庭の月平均電気使用量は約340kWhとされるため一世帯で必要な電気がほぼまかなえる計算になると言う。雷の電気は直流だがインバーターを用いて交流に変えれば使用は可能としている。
注:北陸地方は冬場に雷が多くその雷は強烈である。
我家はオール電化なので月間平均使用電力量は660kWh弱である
No.60の「消雷装置付避雷針」と、この「貯雷で一石二鳥」の論文は3月にも電気設備学会誌で発表されるらしい。
「続流」は理解していたが「大気電流」なる用語は初めて聞いた。太陽光発電とか風力発電の発電量は季節によって多少の違いがあるが、雷は季節によってかなり変わるので冬場はよいとしてもその他の季節にうまく貯雷できるかの疑問は残るが新しいエネルギーとしてはいいかも。ただ、太陽光発電、風力発電も一般家庭で使用してもまず元を取る前に機器の寿命がきてしまうのが一般的である。が、CO2の排出削減には効果があるかも(設備をつくるのに要したCO2が判ればの話)。
論文をまとめる饗庭教授
「電気二重層キャパシタ」の用語解説→出てくるまでにちょっと時間がかかる
電気二重層キャパシタの用語解説
あるメーカーのHPから
電気二重層キャパシタの製品