低圧進相コンデンサの過電圧


 工業用の一般的な低圧電気機器は定格電圧の110%の電圧が連続印加されても正常に動作する。低圧の進相コンデンサの200V級及び400V級回路のもので負荷に個々に接続するものの定格電圧はJIS C 4901 「低圧進相コンデンサ」から200V及び400Vとなっている。     
     
 進相コンデンサに6%のリアクトルを直列に入れて使用する受電設備用のものの定格電圧は234V(回路電圧220V)及び468V(回路電圧440V)である。     
     
 ところがこれの最高許容電圧は一般的なものの連続1.1倍ではなく、下表のように24時間のうち8時間までしか許容されていない。かつ、200V、400Vのものは50/60Hz共用となっている。リアクトルの入るものは共用と単独がある。     

 へそ曲がり的な考え方をすれば200Vの1.1倍の220Vでなく119.9Vであれば連続通電は可能と言う気もするが本当のところはどうなのだろう?。    
    
 これに使用される電力用の変圧器の2次側定格電圧はJIS規格から210Vとなっている。昔の変圧器の1次側のタップ電圧は5700~6900Vまで300Vきざみの6タップで定格電圧は6300Vであった。    
    
 現在は、電力事情がよいので何時のころからかは忘れてしまったがJIS規格は6600Vが定格電圧で 150Vきざみの6750,6600,6450,6300,6150 の5タップ (50kVA以下は6600,6300,6000の3タップ)となっている。    
    
 100kVA以上の変圧器の電圧変動率はJIS規格ではモールドで2.2%以下、油入で1.8%以下でメーカーの実力値はそれの0.8掛以下である。    
    
 そんな訳で無負荷での変圧器2次電圧は電圧変動率の2.2×0.8 = 1.76%の3.7Vにタップ電圧の150Vアップの電圧が印加されても2次側の電圧上昇は5V以下で 3.7 + 5 ≒ 8.7合計で8.7V以下なので 210 + 8.7 = 218.7Vで 220V を超える事はないのかも。    
    
 23:00~06:00の時間帯は高圧配電線は軽負荷で高圧側の電圧変動も少なく、かつ、高電圧となるが時間は8時間以下なので。JIS規格の8時間以内は理にかなっているのかも。    
    
 50/60Hz共用と言う事は50に比べ60Hzの方が1.2倍電流が多く流れるので過酷な条件となるのでコンデンサメーカーにどうなのかと確認したが、「コンデンサの寿命に大きく影響するのは電圧です。電圧は50でも60Hzでも変わりませんので、周波数による寿命変化はほぼありません」と言う回答であった。    
    
 これまで何十年も200V定格のものを使ってきたが問題が発生していないのでOKなのかも。話は別だが、扇風機と同じように1975年(昭和50年)以前に製作された進相コンデンサは保安装置がないので爆発、発火の危険性があるので日本電機工業会(JEMA)では取替をお願いしている。