送電鉄塔


 金沢市示野東の文苑堂書店金沢本店(日本海まで5km強)近くの北陸電力の154kV、2回線送電鉄塔の電線支持物付近の形状が左右で違っている。ほかにはこれまで見たことのないものがある。  
  
 私は詳しく分らないので電力OBの知人に教えてもらったら、各部の名称と役目はこんなんではないかとの回答があった。  

 電線クランプ:電線を固定するもの     
     
 アーマーロッド:電線クランプ部における電線の微風振動、振動による素線切れ防止のた     
 め電線と同一系統の金属を電線に巻き付けて補強するもの     
     
 重錘式ダンパ:ストックブリッジ(考案者の名前)ダンパで微風振動に起因する電線の素線     
 切れを防止するためのもの。     
     
 ウェイト:長く突き出たアークホーンのバランスをとるための重り     
     
 アークホーン:落雷によるアークで碍子が破壊することのないように、碍子表面から少し離     
 れた位置にアークを発生させる必要がある。アークが碍子表面を通過(俗に「なめる」と言     
 う)すると、超高熱のため碍子のひだが全て壊れ、丸坊主なることがしばしば生じる事があ     
 る。     
     
 福井県から秋田県にかけての日本海側は世界有数の雷銀座で特に冬場の冬季雷の強烈な襲来は、ほとんどが夏だけの襲来である関東地方の襲来レベルは赤子のようだと言われているらしい。     
     
 この地方でこの雷を経験せんと理解できないが、どでかい雷の「地響きと閃光と強烈な音」はてんぽなもんやわいね←加賀地方の方言 一説によれば大きなものは200kA 1億V でごく短時間(μsオーダー)のようである。     
     
 写真を見てわかるように右側と左側の送電線の電線支持物付近の形状が違う。北側方向に川が流れており、雷は川沿いを伝って走る(通り道)と聞いたことがあるので北側のみガー ドを固くしているのではと思うが・・・     
     
 どうも左右対称でないのは、「不平衡絶縁」のようだ。「不平衡絶縁」とは1号線、2号線の絶縁強度に差をつけて、たとえば弱いほうの1号線を先に閃絡させると2号線の誘導雷の電位が大幅に下がるので2号線は健全に送電を続けられる。     
     
 これは、特に逆フラッシュオーバー(鉄塔、架空地線への落雷で、鉄塔や架空地線から電線側への閃絡)に大きな効果があるようだ。雷撃に際し、1号線をサージアブソーバーとしている。     
     
 どこの世界でも色々と創意工夫で問題を解決しているようである。