耐圧試験の10,350V 10分間はどこからきたの?


「電気設備の技術基準(電技)」の前の「電気工作物規程(工規)」の時代から高圧6.6kVの耐圧試験は、10,350V 10分間となっている。

 

何故、10分間なのかと言うと、かなり以前はケーブルなどの絶縁処理(現在はプレハブ式で安全、簡単)がうまくなく「耐圧試験」をすると「駄目」なものは8~9分近くで大体、絶縁破壊を起こしていたらしい。そこで経験的に10分間もてば大丈夫という事で10分になったようである。以前に古老の電気管理技術者から聞いた話。

 

6.6kV級(最高回路電圧 6.9kV・ 定格絶縁電圧 7.2kV)の耐圧試験は電技では10分間であるが、JIS,JEMでは工場試験での時間短縮を考えて試験電圧を高くして時間を1分間としている。

     電技:10,350V (6.9kV×1.5倍) 10分間   JIS・JEM:22,000V 1分間

 

何回も耐圧試験をしたくない物わかりの良い電気設備関係者は工場立会検査での絶縁抵抗測定は行うが、耐圧試験は工場検査表で済ませ現地(現場)での電技による耐圧試験で良しとしているようだ。或いは、現地と同じ10,350V  10分間で実施せよとの要求もあるようだ。 

 

電技では低圧は絶縁抵抗測定だけでOK。逆に高圧以上は耐圧試験(商用周波耐電圧試験)をする事となっている。これは電圧が高くなると絶縁抵抗値が十分な値であっても絶縁破壊を起こすことが稀にあるので絶縁抵抗値は参考程度にしている。

 

雷インパルス耐電圧試験では絶縁距離は満足していても導体(銅帯・母線金具等)や接地金属体の「尖っている部分」があるとそこで絶縁破壊を事がある。この為、接地金属体に尖った部分ができない様にしたり、丸縁(まるぶち)銅帯が使われることがあり、さらに銅帯に絶縁被覆を施すこともある。