VTの制限負荷とは、VTを定格周波数の定格一次電圧において連続使用する場合、所定の温度上昇を超過しないで使用する事の出来る負荷の限度。定格二次電圧における皮相電力(VA)で表す。とJIS C1731 計器用変圧器に規定されている。
日ごろ見ているVTは一般計測用の50/60HZ共用、確度階級1.0級、低圧~高圧、定格負担は15~200VAである。220~6,600V/110V、50VA定格でこれの(写真のもの)制限負荷を見てみるとメ-カ-カタログによれば200VAとなっている、かつ、誤差はマイナス5%以下となっている。定格負荷における比誤差は0.7~1.1Vnで±1.0%である(Vnは定格周波数の定格1次電圧を表す)。
220/110V、50VAのVTで比誤差を測定したら下記のようであった。
50VA定格負荷で 1次220V、2次108.9V εv=-1.0%
200VA制限負荷で 1次220V、2次106.1V εv=-3.5%
変圧比誤差(比誤差)
εv=( kn - k/ k )×100 (%) εv:変圧比誤差(比誤差) kn:公称変圧比 k:真の変圧比
つぎに、50VAの定格負荷(負担)と200VAの制限負荷(負担)をかけてVT巻線の温度上昇を見た。規格上は耐熱クラスAで巻線の温度上昇は55K(℃)、鉄心の温度上昇は近接絶縁物を損傷しない温度となっている。結果的には巻線の温度上昇は50VAで16.0K(℃)、200VAで44.9K(℃)となり規格上は制限負荷をかけてもまだ10K(℃)程度の余裕がある。鉄心外面の温度上昇については50VAで21.7K(℃)、200VAで24.5K(℃)の温度上昇となり差は2.8K(℃)で変化はあまり無かった。
写真・VTのV結線の例(三菱製) 6,600/110V 50VA 確度階級 1.0級