入力より出力が大きいエアコンの謎?


 エアコンの能力はkWで表示されているが消費電力のkWより冷房、暖房のkWとも大きくなっている。自宅で使っている下表の左側の機種の例でいえば消費電力が0.865kWで冷房能力が4.0kW、消費電力が0.895kWで暖房能力が5.0kWとなっている。冷房では4/0.865≒4.62、暖房では5/0.895≒5.59倍となっている。これは何故だろう。

 簡単に説明すると、

 冷暖房を行うためにヒートポンプ(熱ポンプ)が使用されている為である。図のくねくねしたものはパイプでパイプの中には冷媒(熱媒)というものが通っている。

 暖房のSWを入れると熱媒はコンプレッサで加圧され高温・高圧のガスとなり矢印の方向に向かう。ガスは放熱側のパイプを通る時に熱を外部に出し(室内に熱を出し暖房する)元の液体に戻る。戻った液体は吸熱側のパイプを通る時に周りの熱を奪って気化する。気化した熱媒は再度コンプレッサに送られ同じ工程を繰り返し暖房として機能する。

 冷房に切替える場合は熱媒の流れを逆にして今度は冷媒として室内を吸熱側、室外を放熱側とすればよい。

 この仕組みの中で電力を消費するものはコンプレッサ位のものであるがその消費電力よりも冷暖房能力が大きいのは次の理由による。

 冷房能力とは室内から吸収した熱量をワット換算したものであり、暖房能力とは室内に放出した熱量をワット換算したものである。しかし、冷房の場合に吸収した熱は供給電力が生み出したものではなく、もともと室内にあったものである。また、暖房の場合に放出した熱には室外から吸収した熱がかなり含まれており、その熱に対しては電力を使っていない。そんな訳で実際の供給電力よりもワット換算された冷・暖房能力が大きくなるからである。と言う事のようである。

 自宅で使用のエアコンの定格表

ヒートポンプのしくみ