ZCT(零相変流器)2次側開放


 電気あれこれNo.47 「CT(変流器)の2次側開放」にも載せたがCTの2次側端子のk l は通電中には開放するなと言う事は電気屋の常識となっている。しかし、ZCT(零相変流器)の2次側端子のk l の通電中の開放はどうなのだろうか?  
  
 地絡がない場合は電磁的平衡が取れているのでk l 端子には電圧が発生しないので、開放しても(されていても)問題は起きない。下図参照  

 つぎに、電力会社の高圧配電線は非接地式なので一線地絡した場合の地絡電流は多くても30A以下である。私の勤め先の高圧受電設備は郊外なので一線地絡電流は4Aである。4A程度の電流であればZCTの2次側が開放されていても問題は起きないと思うが実際はどうなのかを35Aの地絡電流を流して確認した。   
   
 ピーク値で49.4A(実効値35A)の一線地絡電流を流した場合の k l 間に現れる電圧は109.4Vであった。下図参照

 しかし、低圧の場合は変圧器容量と地絡地点の状況によっては数kA~数十kAの大きな電流が流れる事がある。この場合はさらに大きな電圧の発生が予想されるので確認してみた。電流は多くないがピーク値378.1A(実効値268A)を流して見ると220V程度の電圧が確認された。

 測定器の入力インピーダンスがあるので真値は?であるが傾向として当然地絡電流が増 えれば電圧は高くなる。そんな訳でZCTの2次側開放は地絡事故時に過大な電圧を発生するので2次側の k l 端子の開放はCTと同じくダメと言う事になる。

 このような例は改修工事で地絡継電装置(DGR、HGR等)を取替えたが端末処理されたケーブルを既設のZCTから取り外す事が困難な場合が多いので施設したままとし、新たに鉄心分割形(分割貫通形)のZCTを設ける場合に起きる。  
  
  既設のZCTの k l 端子は開放のままとせずしっかり短絡しておかなければならない。