電磁誘導障害


   地絡継電器・漏電警報器・インバータのカタログなどには注意事項として信号線は大電流回路から離せとか、ツイスト線かシールド線を使えとか、信号線は密着して配線せよとかがある。が、実際どうなるのかはこれまで私は確認していなかった。

 機会があったので写真1のように大電流線のつもりとして細いが22sqMLFCを3本、信号・制御・操作・計測線として2sqツイストペア線、0.5sq2芯シールド線、2sq2芯ビニルコード、2sqIV線の4種でどうなるかを見た(電線の長さは約11mで各々片一方の終端を短絡し反対側の両端に発生する電圧を測定してみた)。電圧はHIOKIのテスター3256で測定した。

 まず、大電流線に3φ3Wの200A(60Hz)を流し、その1線に細線を各々平行に這わし、他の2線の大電流線を15cm程度離した場合(写真2と3、2はIVの1線を離した場合)。無通電は摺動電圧調整器の出力が0の状態。

線種 0A(無通電) mV 200A通電 mV
2sqツイストペア線 2.0 1.9
0.5sq2芯シールド線 2.0 2.1
同上一端接地 0.7 0.7
2sq2芯ビニルコード 2.2 5.6
2sqIV線 1線を離す 1.0 309.2
2sqIV線 2.1 44.3



 次に大電流線に3φ3Wの200Aを流し、その3本に細線を平行に這わした場合(写真4)。

線種 0A(無通電) mV 200A通電 mV
2sqツイストペア線 5.0 7.8
0.5sq2芯シールド線 5.0 5.1
同上一端接地 0.7 0.8
2sq2芯ビニルコード 5.4 13.6
2sqIV線 1線を離す 3.6 7.7
2sqIV線 4.6 48.9



 結論から言えばツイスト線、シールド線、芯が強制的に平行になっているビニルコード、CVなどのケーブルは電磁誘導障害を受けにくい(ベクトル的に打ち消す、かつ、シールド線は文字どうりシールドされている→ただし、一端接地の場合)が単芯のIVなどの電線は配線の回し方によってかなり影響を受ける事がわかる。某社の漏電警報器は1次50mAの地絡でZCTの2次電圧は30mVなので誤動作すると言う事が判る(実際に誤動作させてみた)。

 上記は商用周波数であるがインバータのような高い周波数を含むものはさらに障害が大きくなるが大容量のインバータがまわりにないので残念ながら現在確認がやれない。

 写真1下・電線を全部まとめた状態(判り易い様に広げた)

写真2下・大電流線2本を15cm程度は離し、かつ、IV線の1本を離した状態

写真3下・大電流線2本を15cm程度は離し他をまとめた状態

写真4下・電線を全部まとめた状態