故郷・山中弁


私が、故郷・石川県江沼郡山中町富士見町〇〇〇(その昔は石川県江沼郡山中町18区〇〇〇・現、石川県加賀市山中温泉富士見町〇〇〇)に住んでいる頃に聞いた或いは使った山中弁をまとめてあります。今では死語になっているものもあると思います。また、石川県内で広く使われている方言もは入っていると思います。これから追々充実させていきます。両親の影響や私自身が山中弁のほか小松弁、金沢弁、富山弁、関西弁にも馴染んでいるのでごちゃ混ぜの所があるかも。
 
私は山中弁だと思っていたが念のため辞書(広辞苑)で調べて記載のあるものは除いた。同じ山中でも地域、年代によって多少違う事もある。我家だけで使っていたものもあるかも?
 
強意の場合は頭に「ど」を付けるものもある。谷(たに)は「たん」と発音する事もある、例:九谷(くたに)→くたん。風谷(かぜたに)→かぜたん。
 


    山中弁 標準語では(意味) 用例
1 あわしゃ あいだ(間) あこの「あわしゃ」道を入ってくれ
2   あんか 兄さん、先輩 こんの「あんか」おるけ(この家の-いますか)
3   あせくらしい 忙しい、せわしない 「あせくらしい」こっちゃ(事です)
4   あやめ 馬鹿、ダメな奴、(だらけ、だら-山中弁) この「あやめ」が
5   あぐそ 乱暴者 あこの息子「あぐそ」で母ちゃん弱っとるんやわ
6   あしめ、あしめ違い 当て、当てはずれ あこのあんか「あしめ」できん
7   あぁ-たっちゃ あぁ-困ったな 「あぁ-たっちゃ」どうするがいね
8   あばれ 本気でない 冗談 「あばれ」やがいね
9   あんべい 体の具合(塩梅、按配からきている)、調子 ○○のばぁばぁ「あんべい」悪いんやと
         
10 い(え)んにかかる からかう、ちょっかいを出す 「い(え)んにかかって」やれま
11   い(え)としげに かわいそうに あ~りゃ~「い(え)としげに」
12   い(え)ちゃけな 可愛い 「い(え)ちゃけな」子やんね
13   いったらかい 万遍なく、平らに 「いったらかい」にせいまいや
14   いしな 「いしな」ぶつけてやれ 「いしな」の上を歩くなま
15   い(え)らざらん 余計な 「い(え)らざらん」事してくれて
16   い(え)んちぇ 小さい 「いんちぇ」あんちゃんて言うたら怒られた
17   い(え)さどい えらそうな あれ「い(え)さどい」ばっかり言うとるがいね
18   いじくらしい まとわりつかれたりして煩わしい事(うざくらしい-山中弁) 「いじくらし」んな、あっちいけま
         
19 うざくらしい まとわりつかれたり 「うざくらし」いことすんなま
して煩わしい事(いじくらしい-山中弁)
20   うれしぼ・うれしんぼ 周りはさめているのに一人だけはしゃいでいる人 ありゃ「うれしんぼ」やがいね
         
21 えさる、えさり いばる、えばる 「えさり」くさって
22   えんぞ 側溝(どぼす-山中弁) きゃ「えんぞ」掃除やぞ
23   えまに 今に 「えまに」みとれ
24   えら様 偉い人、名士 「えら様」がきとる
25   えげぃ えぐい このえも「えげぃ」がい
26   ええとこ 金持ち、良家 「ええとこ」の子や
         
27 お(ご)あんさん ええとこのご主人、旅館のご主人 今朝もあこの「おあんさん」ゆ(湯、共同浴場)におんなったぞ
28   おぞんべ 雑炊 きゃ「おぞんべ」や
29   おつっぱ 正座 「おつっぱ」かいとったら足ゃしびれてもた
30   おんなるけ 居られますか こんのねえちゃん「おんなるけ」
31   おぞい 悪い、元気がない、ダメ あんた「おぞい」こっちゃねぇ
32   おいね そうそう、そうですね 「おいね」そうやんね
33   おもっしぇ 面白い あこのあんちゃん「おもっしぇ」事ばっかし言うとる
34   おもさま 十分に、思う存分、強く きゃめでたいさけに「おもさま」酒飲むぞ
35   おがめ 顔面にできる皮膚病 はよ「おがめ」直さんとだめやぞ
36   おんぼら-と ゆったりと、のんびりと 「おんぼら-と」していきねぇねぇ-
37   おとっとき とっておきの ほんなら「おとっとき」の酒を出すわ
38   おめんたもん お前みたいなもの 「おめんたもん」どこでも行けさらせ
39   おめら 貴方の複数形 「おめら」どこのもんや
40   おとろっしゃ 恐ろしい 「おとろっしゃ」ほんな事あこのおっつぁ言うとるかいね
41   おっつぁ 親父、父親  あこのうちの「おっつぁ」の腕はてんぽなもんや
         
42 かんぱ 頭のできもの、腫れ物 えも(イモ)ばっかり食うとると「かんぱ」出来るぞ
43   かたがる 傾く あのうち「かたがっ」とるぞ
44   かげら 影、陰 「かげら」に入らな暑つうていかん
45   かたい かしこい、利口 あらっ「かたい」子やんね
46   がっぱ 必死に、一生懸命に 「がっぱ」になって走ったわ
47   かもてくれんな かまわないでくれ ちゃべちゃべ「かもてくれんな」
         
48

気の毒な おを付けて

「お気の毒な」もあり

感謝の気持ち、ありがとう

何時も「気の毒」なぁんねぇ

あら「お気の毒な」

49   きんの、きんにょ 昨日 「きんの」医者行って見てもろたけどどうもねかった
50   きゃ 今日 「きゃ」てんぽにええ天気やんなぁ
         
51 くちすぎ 生計を立てる事 「くちすぎ」出来んでどうするがいね
52   ぐす ごまかす あいつ「ぐす」ばっかりしとる
53   くどい、くでぃ 塩辛い これ「くでぇ」し食われんがいね
54   くそこんじょし 根性良しの強意 おめいみたいねもん「こそくんじょし」や
         
55 けんけん 先が尖っている事、様、もの 鉛筆を「けんけん」に削る
56   嘔吐、へど 胸悪うなって「げ」吐いた
57   げすべた、げっとくそ 最下位 あこのあんか「げすべた」で当選や
         
58 こすかん 憎たらしい、気に食わん あの人「こすかん」人やんね
59   こそがす くすぐる そんなとこ「こそがす」ないや
60   こんの この家の 「こんの」ばぁばぁ元気やんね
61   こんね こんなに 「こんね」ようけ食われんわいね
62   こんじょし 根性よし、馬鹿、人が良い えぇ-この「こんじょし」だらん事しとんなまいや
63   ごたむき 理屈をならべて文句言う者、人 わしゃおめいみたいな「ごたむきゃ」嫌いや
64   ごんだ もち米とうるち米(普通の米)が入った餅の事 「ごんだ」でも食うか
65   ごっつぉ ご馳走 きゃ祭りやさけ「ごっつぉ」でけことあるわ
66   こぼ 子供、子 あこの「こぼ」どんならんやつや
67   こわろ 子供、子 昔の「こわろ」もいまはじじばばや
         
68 さんまい 火葬場 「さんまい」で燃やさないかんわいね
69   さんにょ 計算 ぜんの「さんにょ」も出来んでどうするがいね
70   さいね しよう、やりましょう 今度きたら鮎をさかなに飲も「さいね」
         
71 しんがいぜん なけなしの金 ばぁばぁの「しんがいぜん」まで取ってもうたといや
72   しょむね 塩、味噌、醤油が効いていない、愛想が無い こんな「しょむねぇ」もん食えんわいね
73   しょまな、どしょまな 不器用な 「しょまな」事しとんなまいや
74   じらくさい 優柔不断、はっきりしない 「じらくさい」あんかやぞ
75   じらもん じらくさい者の事 ありゃ「じらもん」やぞ
76   しもた しまった あぁ「しもたぁ」あれ忘れてきた
77   しょまいか しようではないか そろそろ「しょまいか」いや
78   シース ビー玉 みぃ坊「シース」せんか
79   しねま、しね しなさい はよ「しねま」
80   しんなま するな そんなとこで小便「しんなま」
         
81 せいま しなさい はよ「せいま」いや
82   せいもむ イライラしてくる ほんに「せいもます」なまいや
         
83 そうやんね、そうやね そうですね 「そうやんね」あの子えろうでこなったね
84   そうやとこと、そうやとこて そうですね 「そうやとこと」一回行ってこんか
85   ぞうよ 経費 「ぞうよ」かかってどうむならんわいね
86   ぞいね です そうや「ぞいね」
87   そんね そうではない 「そんね」わいね
88   そんね そんなに 「そんね」ようけいらんわいね
89   そんなんでねんじゃわいね そうではない 「そんなんでねんじゃわいね」こんなんやは・・・ 
90   そうけ、ほうけ そうですか 「そうけ」ほんなんけ
         
91 たるい しまりのない、抜けている そんな「たるい」事を言うとんなま
92   たのむこっちゃさけ たのみますから 「たのむこっちゃさけ」そんな事せんといてくれ
93   だちゃかん、だちかん、だっちゃん ダメ(埒が開かないからきている) そんな事したら「だちゃかん」がいね
94   だらげた ばかげた ええ齢して「だらげた」事をしとる
95   だんね 大丈夫 心配せんでも「だんね」わいね
96   だんくら 腕白坊主 あこの子「だんくら」ばっかりしとる
97   だんだ (幼児に使う)湯(風呂) さぁ「だんだ」いくぞ→山中の共同浴場に行く事
98   だら、だらけ、だらぼす 馬鹿、アホ 「だら」みてな事言うとんなま
99   だらかなんかに 馬鹿にしている、ばかばかしい 「だらかなんかに」ほんな事言うと笑われるぞ
         
100 たいそい 苦労、しんどい きゃ「たいそい」し行くのやめるわ
101   ちびて 冷たい この水「ちびて」んなぁ
102   ちょびっと、ちょっこし、ちょびんこ 少し ほんねぎょうさんえらん「ちょびっと」でええわいね
103   ちょっきり 丁度 6時「ちょっきり」に出るぞ
104   ちんちん 熱くなる、沸騰する やかん「ちんちん」になっとるがいや
105   血なんかい 血まみれ そこらあたり「血なんかい」になっとった
106   ちゃぁまる、ちゃがる 捕まる、掴まる 悪い事したら「ちゃぁまる」ぞ
107   ちょうぎ 調子 「ちょうぎ」ええやつやんね
108   ちゃべちゃべ おせっかい 「ちゃべちゃべ」かもてくれんな
109   ちん おとなしく ちょっこり「ちん」としとれまいや
110   ちゃがちゃが ぐちゃぐやに、滅茶苦茶に 「ちゃがちゃが」にしてもて
111   ちょんちょん 体が大きくなって衣服が合わない事 その服「ちょんちょん」やがいね
         
112 つんだって つれだって あんちゃんに「つんだって」行くわ
113   つるつる なみなみ コップに水を「つるつる」一杯に入れてあげる
114   つれぇ しんどい、つらい 「つれぃ」わいや
         
115 てなわん 利口、抜け目がない ありゃ「てなわん」やつや
116   てんぽな 大変な、すごい 「てんぽ」にでけい熊やったわ
117   でけこと 沢山 ほんな「でけこと」いらんわいね
118   でけぇ 大きい てんぽに「でけぇ」んな
         
119 どむね、どもね、どうむねんじゃ 大丈夫 ほんなんせんでも「どむね」って
120   どっかかんか 何処かが 「どっかかんか」壊れておるもんやね
121   どくしょな 意地の悪い 本当に「どくしょな」おっつぁや
122   どぼす ドブ川 「どぼす」に落ちるぞ
123   ど(で)んじゃいね どうしたの あんた「ど(で)んじゃいね」そんな格好して
         
124 なんかかんか 何かは 「なんかかんか」はあるぞいね
125   なもねぇ 何も無い そんなもん「なもねぇ」わいね
         
126 にゃぁにゃぁ 娘、母ちゃん こんの「にゃぁにゃぁ」おるけ、「にゃぁ」ですます場合もある
         
127 ねこめ あこの「ねこめ」うちの庭でクソばっかりしてどんならん
         
128 はげぇ 歯がゆい 「はげぇ」んじゃわいね
129   はすわ 気前がよい、大雑把 そんな「はすわ」な事すんなまいね
130   はなっぱし 端の方 あぶねいさけ「はなっぱし」によっておんね
131   ハイの子、ハエの子 遊びに参加できる小さい子 ○○坊は「ハイの子」やぞ(正式な遊び仲間ではないが、昔は年令が違っても皆で遊んだ)
132   はかいく はかどる あんたが手伝うてくれたから「はかいく」わ
133   八文だら 馬鹿 えぇぃ「八文だら」みてな事しんなま
134   はしったるく 走り回る そんなとこ「はしったるく」ないや
135   はぐしくう はぐらかされる ほんなことしたら「はぐしくうて」ひっくりかえるぞ
136   場こわし その場の雰囲気を あいつぁ「場こわし」や
悪くする人
137   パス めんこ 「パス」で手打ちして手えてい
         
138 ひでぇ ひどい、悪い事をする あら「ひでんじゃ」先生に言うてやろ
139   ひんたわるい、へんたわりぃ 格好悪い、恥ずかしい そんな事したら「ひんたわるて」町歩けんがいね
140   ひとかたき 一回分の食事 「ひとかたき」抜いても死なんわいね
141   ひねわかじんじこぼ 大人びた顔の子供 あの子「ひねわかじんじこぼ」やいね
142   ひねた 古くなる、古びる、大人びた 「ひねた」きゅうりやがいね、「ひねた」子やねぇ
143   ひんね、ひんねま 昼寝 さぁ「ひんね」でもするか
144   ひつこぅらと しつこく 「ひつこぅらと」言うてやらんとだちかんとこて 
         
         
145 へしねぃ 待ちくたびれる ほんなん「へしねぃ」ていかんわいね
146   ぺったるい、ぺちゃるい 平たい つぶれて「ぺったるぅ」なってもた
147   へご 歪み、馬鹿 おめの根性「へごっ」とるがいね
         
148 ほたえる 調子こく  
149   ほんねぃ そうでない 「ほんねぃ」わいね
         
150 まどう 弁償 おめ壊したんやし「まどて」くれま
151   まいどさん こんにちは 「まいどさん」とうちゃんおんなるけ
152   まいてやる 仲間に入れてやる、まぜてやる 「まいてやる」さけこいまいや
         
153 見ともね 見たくもない ほんなもん「見ともね」わいや
         
         
154 むたむた 整理整頓出来ていない様、バタバタ あこのうちいつも「むたむた」やいね
155   むさや 悪い、いやや、むさくらしい、 あら「むさや」この孫わてにそっくりや
156   むさんこ 多い、たくさん 鮎が「むさんこ」につれたぞ
         
157 めんどくせ みっともない、ブス 「めんどくせ」めろんこやなぁ
158   めろんこ、悪く言う場合は、めろ、とか、どすめろと言う 女の子、女 あの子「めろんこ」やにやんちゃやな子や
159   めんど可愛いらしい、めんどかいらしい 美人でないが可愛い子 「めんどかいらしい」子やんな
160   めめる にらむ ほんに「めめらん」でもええがいね
161   めとにする 見下す、バカにする あいつわしを「めとに」してもてからに
162   めっこめざらし すべて見せる事、見えること 「めっこめざらし」やわいね
163   めっそもねぇ とんでもない 「めっそもねぇ」こっちゃ
         
164 ものい しんどい、つらい 「ものい」し横になっとるわ
165   ものすげ ものすごく こりゃ「ものすげ」値段が高いもんやぞ
         
166 やっとこさ、やっとこすんとこ どうにか 「やっとこさ」息しとる
167   ヤリカンボ 周りの事を気にしないで自分の思い通りに行動する人 あいつぁ「ヤリカンボ」でどむならん
168   ~やんこ 互いに行う事 回し「やんこ」やぞ、歌い「やんこ」やぞ
         
         
         
169 ゆっくりしていきねぇねぇ- ゆっくりしていってください(ゆっくりくつろいでいってください) あんた「ゆっくりしていきねぇねぇ-」
         
170 よしかける たてかける そこに「よしかけ」といて
171   よならん よくない、いけない 「よならん」事したらだちかんがいね
172   よす、よすこき おしゃれ、伊達こき 「よす」こいて
173   ようけ たくさん こんね「ようけ」いらんわ
174   ようねぃ 悪い、気を遣わせる そんなことしてもろたら「ようねぃ」がいね
175   よすらしい 気取っている あこの母ちゃん「よすらしい」事ばっかり言うとるね
         
176 りくつな 賢い、利口、良い 「りくつ」なあんちゃんやね
         
177 わっら お前ら 「わっら」ちゃんとせいまいや
178   わがめ 私、自分 「わがめ」が言うとってから今頃、何を言うとるんじゃいね
179   わい 私(男ことば) ほんなら「わい」んとこ来いや
180   わて 私(女ことば) ほんなら「わて」んとこいらっし
181   わいら 我々 [わいら」ほんなん知らんわ
182   わけなし 分別のない人、子 この子「わけなし」で弱っておるんや
183   わらびしい(わらべしい) 子供っぽい ええ齢して「わらびしい」事を言うとんなま