始動と起動


 「めっき」は、めっき、メッキ、鍍金とあるがJIS規格では「めっき」と書くのが正である。同様にどっちでもええ様な事だが「始動」と「起動」について考えてみたい。広辞苑によれば、     
     
 始動 : 動かし始めること。動き始めること。運転を開始すること。起動。「エンジンが始動     
      する」     
 起動 : 動きを開始すること。特に、発電機や発動機などが運転を開始すること。始動。     
     
 とあり、どっちでもええ様である。が、JIS,JEC,JEM等の規格や「電気設備の技術基準」     
、「内線規程」等においては現在、「始動」の文字を使っている。     
     
 半世紀以上も前に学んだ事になっている工高電気の教科書の「電気機械Ⅱ」では「起動」の文字を使っている。(電気学会 昭和34年(1959年)11月20日発行 の抜粋)     

 会社に入ってからも電動機の「起動方法」は「全電圧起動」、「直入起動」や「Y-Δ起動」などと起動を付けて呼んでいた。     
     
 上記から判るように以前は、「起動」の文字を使っていた。JIS C4210:1983 「一般用低圧三相かご形誘導電動機」では、始動トルク、始動入力のほかスターデルタ始動器などの文字があるので1959年から1983年の間に変わったものと思われる。     
     
 ところが、世間を騒がせている原発の新聞報道は、「大飯4号機が7月18日午後9時起動」などと「起動」が使われている。パソコン等では「起動」、「再起動」などが使われている。     
     
 なんで、「起動」が「始動」に変わったのかに付いて私なりの理屈を言えば、規格や基準、規程の改訂、見直しの場合、声の大きい奴(意味合いは一寸違うがこちらの方言で言えば「ごたむき」)の意見がまかり通って「起動」が「始動」な変わりそれがみんな右へならいし、「始動」になったものと思われる。漢字そのものの意味から言えば「起動」のおこし動かすよりも、「始動」の動き始めるの方が理にかなっているかも。