過負荷電流の範囲とは


過電流とは「電気設備の技術基準」では、過負荷電流と短絡電流の二つを言うとなっている。短絡は導体(電線、銅帯等)同士を接触させるとか、導電性の異物(ペンチ、ドライバー、スパナ等)を接触させるなどしてドカン、バチンと火花が飛んで大電流が流れ目がしばらくの間見えなくなり、低圧ではMCCB、ELCB、ヒューズ、高圧ではVCB、電力ヒューズなどの過電流遮断器が飛んで回路を遮断してくれる。

 

一方、過負荷電流はネットで見ても当り障りのないごく普通の、定格以上の負荷(電流)という記述しか見当たらない。そんな訳で「かご形三相誘導電動機」を主に私なりに考えてみた。

 

過負荷電流とは、定格電流の1倍を超え、8倍以下の電流と定義付けたが如何なものだろうか?その根拠は下記である。

 

電磁開閉器(MS)の「かご形三相誘導電動機」の始動、運転、停止はAC-3級で見る事になっており、これの接点能力はJIS C8204-4-1では閉路10倍、遮断8倍となっている。MS、MC(電磁接触器)の国内の先進メーカーの富士電機では閉路、遮断とも10倍以上の能力なので、1倍を超え、10倍以下でも問題は無いが、国内各社を見れば前述の1倍を超え、8倍以下が妥当であろうと思う。

上図は三菱電機の熱動継電器(サーマルリレー)の特性の例である。整定電流の倍数は14倍程度までであるが物によっては10倍程度しか表示されていない。そんなことでJISの遮断8倍から8倍以下と考えた。が、かご形三相誘導電動機の始動電流は定格電流の5~7倍程度なのになぜ閉路が10倍なのかが?である。多分、遮断が8倍であれば閉路は通常2倍以上あるがその必要が無いのでチョットだけよという事で10倍にしたのかもと考えるが・・・