CT(変流器)の2次側開放


  CT(変流器)の「2次側開放」はDS(断路器)の「生切り」と同じく電気屋としてはやってはいけない事になっている。しかし、2次側開放で2次側にどれ位の電圧が出るのかは文献のどこを見ても記載がなくただ「パルス状の高電圧が出て2次側巻線の絶縁を脅かす」となっている。そこで低圧の2000/5A 40VAの貫通形CTの1次側に1000A(電圧は5V以下)流して2次側を開放して見た。

 定格負担40VAのCTで負担が40VAで5A流れていれば2次側端子電圧は40÷5=8Vである(同じ5Aでも負担が小さければ電圧は8V以下になる)。この8Vに対してどれだけの電圧をもって高電圧と言うのかも不明である。

 ともあれ、1000Aを流して2次側を開放して見た。開放時、多少の火花が見えた。デジタルテスタ(入力インピーダンス約10MΩ)で測って見ると22V位で、アナログテスタ(入力インピーダンス10kΩ/V)で測ってみると9.5V程度であった。テスタそのものの入力インピーダンスが負担(負荷)となって真値は測定できない。

 そこでメモリーレコーダで1次側電流と2次側開放電圧を測定してみると下図のようにCT1次電流が零点を通過する付近で磁束が急変するのでピーク290Vの尖頭波電圧が現れた。この290Vで2次巻線の絶縁が脅かされるのかはCTを切断し、巻線径、巻数、巻線絶縁種類などを確認しないと本当の所は言えない。JIS規格では2次側開放1分間で異常の無い事が条件であるが、今回90分近く2次側開放を続けたが異常はなかった。その後、CTの比誤差を確認したが全く問題はなかった。位相角については測定しなかった。

 CTの2次側 k l 端子開放時の電圧、電流波形

2008.01.21 CT2000/5A 40VA 1150Vを切断し切断面を撮影した