400V級トランスの定格2次電圧 50Hz420V 60Hz440Vの訳


 我国の電力用変圧器の低圧2次定格電圧は下表のようであり、400V級については周波数の違いにより2種の電圧がある。

 日本の標準電圧 JEC-158(1970) によれば400V級は一寸変な値だが415V(現在は400VJEC-0222 (2002)) となっている。400V級の歴史は浅く昭和30年代(1955~) にわが国で採用されたと思っている。従来から使用している200V級は50も60Hzも変圧器の定格2次電圧は210Vなのに何故400Vが標準電圧であるのに50Hzは420Vで60Hzは440Vなのかの疑問が残る。     
     
 動力回路の負荷は圧倒的に電動機が多い。この為、400V級の電動機を作ろうとすればメーカーは生産効率の面から50/60Hz共用のものを作りたいのが当然の理である。     
     
 そんな訳で以前からある200V級は50/60Hz共用となっていると考える。単純に言えば50と60Hzではインピーダンス比が1.0:1.2となり2割の違いが出る、つまり、50Hzを基準にすれば60Hzは電流的には1.2倍の電圧印加となる。同じ電力であれば1.1倍程度の電圧印加となる。     
     
 400V級変圧器は歴史も浅いので変圧器規格の作成時に、私の拙い考えであるが50Hz 400V定格の電動機に高い電圧をかけない様に、かつ、線路の電圧降下も考慮し変圧器の定格2次電圧を420V (210V×2倍) とし、60Hzを440Vにしたのではと単純に考えたが如何?     
     
 電動機は50Hzは400V定格、60Hzは400V定格と440V定格(400V定格の無いものもあり)としている。一般的に定格電圧の±10%程の電圧変動があっても電気機器は正常に動作するるように作られている。

     
  400×±1.1=360~440V   
  440×±1.1=396~484V   
     
 写真は富士電機の三相200V誘導電動機の3定格の定格銘板の例   

 6kV/3kVのタイトランス(連系トランス)の定格2次電圧は50Hzが3,150V、60Hzが3,300Vとなっていて、電動機の定格電圧は50Hzは3,000V、60Hzは3,300Vである。電圧比は440/420= 1.0476、3,300/3,150=1.0476で同じである。    
    
 参考:三菱三相E種電動機45kWの100%負荷での電流、効率、力率の例