PAS(気中開閉器)のSO動作


 高圧需要家の引込開閉器に使用される 7.2kV PAS(高圧気中開閉器)の外観と方向性SOG機能付きの結線図の例は下図のようである。  

 高圧需要家の主遮断器(CB、PF)以降の過電流については主遮断器が保護してくれるが、高圧引込開閉器~主遮断器までの間の過電流は引込開閉器の定格電流の2~4倍位までは開閉できるが、遮断器の様に短絡電流を遮断する事は出来ない。      
      
 高圧引込開閉器~主遮断器の間は高圧ケーブルが使用されており、このケーブルの劣化による事故が高圧受電設備全体の90%以上を占めている様である。      
      
 高圧の一線完全地絡電流は大都会でも20~30A、金沢市内や金沢近郊は4A以下がほとんどである。地絡電流だけなら引込開閉器をトリップさせても問題は無いが、地絡と短絡が同時に起きる場合は大きな電流が流れる。      
      
 そんな訳で引込開閉器は開閉できる過負荷電流が決められている。その値は定格電流とメーカーによって違うが400~1,200Aで3回程度である。      
      
 この過負荷電流までなら開閉しても問題がないので、それより下の電流、例えば過負荷電流が800Aであれば600±100A以上の電流が流れた場合は、結線図のOCRが働き引込開閉器がトリップしないようにし、配電用変電所の遮断器がトリップして無電圧となった後に引込開閉器を安全にトリップさせ、波及事故を防止している。これを過電流蓄勢動作(SO動作)という。      
      
 過電流蓄勢動作:SO (Storage Over current)動作     
      
 概念的にSO動作が解っていたが、たまたま過電流ロック電流を測る機会があった。RとT相を別々に単相電流を流し電流値を測定した。試験したものは700±280Aもので700A近辺で動作した。