変えられない、変わらない


昭和41年(1966年)頃かと思うが計量法の改正で積算電力計が電力量計と呼ばれるようになって久しいが、未だに電気設備の設計図に積算電力計と表現されたり、積算、積算計などといっている向きもある。また、重量も質量に変わってからかなり時間が経つが相変わらず重量と呼んでいる向きや、定格銘板も堂々と重量になっているものもまだ多くある。

一旦、頭の中に入力されたものはなかなか変更がきかないと言う人間の習性なのかも。ちなみに、家の冷蔵庫などの配置を変えた場合、無意識に元の場所に行き、行ってからありゃりゃとなる事をたまに経験する。

社会にでてから暫くの間は、1分2厘5毛(M4相当)とか3分(M10相当)等の呼称の分ねじ(ウイットねじ)を使っていた。その後、メートル並目ねじを使い始めM3、M4、M5のねじピッチがISO規格に整合となり、俗称イソ(ISO)ねじと呼んで使っていた。いまではイソねじといってもピンと来ない人が多くなっている。

メートル法になってから尺貫法は姿を消してしまったが建築関係、電気設備、空調衛生設備では1968年にJIS規格が廃止になった前出のウイットねじが現在でも使われている。現行のJIS規格はメートルねじのほかユニファイねじ(インチねじで航空機、アメリカ自動車、バイク等に使用されている)も健在である。

世界的にメートルねじだけにならないものなのか。と言っても使うのはM2~M16程度のメートル並目ねじである。趣味でやっているアマチュア無線の輸入品の機器などもインチねじなので使うほうとしては、会社でも家でもスパナ、レンチなどの工具を2種類準備しないといけないし、補修用のねじ、ボルトの類もこれまた同じである。

標準数も昭和29年(1954年)にJISが制定されたが日本人の性格に合わずなかなか変えられない。標準数R10系列の125、160、250、315、630、1250、1600、2500、3150などの数値も一部で630、1600、2500などが使用されているにすぎない。


EM-1425(金属閉鎖型スイッチギア及びコントロールギア)では将来、600A、1200A,3200Aは廃止予定となっているがこれまた怪しいものである。

50Hzと60Hzの統一の機運もあったがそのまま。

ようやく100Vも国際標準の230V(400/230)に30年ほどかけて変えていくらしいがどうなる事やら。あの世から見てみたいものだ。


上記は電気設備学会誌、2006年2月号の学会サロンに掲載された拙文です。投稿したのは2005年6月末です。その後、某社で配線用遮断器(MCCB)、漏電遮断器(ELCB)のフレーム電流値にようやく標準数R10系列の63、125、250、630、1250などが出てきたが何故か31.5は日本人の性格を考慮してか?32としている。多分、今後各遮断器メーカーとも某社と同様の品揃えをすると思われる。